マーク・ボランの画像を会社のPCの壁紙にしてたんですけど、
常に色んな窓が開きっぱなので、ろくに眺める機会がなかったのです。
でも先日職場のネットワークがトラブルで止まって仕事がなんもできなくなったとき、
じとーっと画像を見てたら、ボラン氏の後ろのアンプの上に置いてある小さな箱に気が付きました。
それはダラスのレンジマスターでした。
ゲルマニウムトランジスタ一石のトレブルブースターです。
かなり有名なギタリスト達が使ってたようで、
60年代の有名な音源の数々がこれで作られた音だったりするみたいですね。
 
ぼくは機会があるたびにゲルマトランジスタを入手しまくってるのですが、
もったいなくて全然使わず、なんだかただのコレクター化しちゃってるみたいな気がしてたので、
レンジマスターならトランジスタ1個しか使わないし、作ってみようかなーと思い立ちました。
 

 
最初はね、ゲルマの回路だけど単なる一石の増幅回路だし、
シリコンの回路よりちょっと味わい深げな音がするだけだろうなー・・・とかナメてました。
 
でも作ってわかりました。
ナメててすいませんでした。
最高すんげー素晴らしい音が出ました。まじすいません。
ネットで誰も彼もが褒めてるわけですよ。
超かっこいい音ですもん。 
 

トランジスタは漏れ電流が少なくて、HFE70〜100くらいのが良いらしいのですが、
手持ちのを全部試した結果、2SD77というNPNのが一番かっけー音だったので採用しました。
よって回路はNPNのネガティブグランドになってます。
アダプタ接続が簡単なので、NPNがハマって丁度よかったです。 
 
ネットであちこち見てると、ノイズ対策で金属皮膜抵抗使用が奨励されてますが、
どうもトランジスタの相性がノイズの原因みたいなので、
トランジスタがバッチリだと、ある程度は低ノイズになるみたいです。
ぼくが使った2SD77だとどんな抵抗使ってもノイズ低めでいい感じでしたが、
念のために1/2Wの金属皮膜を使いました。
 
世にあるレンジマスターのコピーや自作物は、入力側のカップリングコンデンサ
切り替え式に改造して、トレブルブースト以外もできるようにしたものが多いので、ぼくも色々試して見ました。
2回路複数接点のロータリースイッチで、入出力両方を色んな組み合わせに切り替えられたらかっこいいかなーと。 
でも、入力はともかく出力は、オリジナルの0.01uF以外は全く好みじゃなく、 
入力もオリジナルの0.005uF(0.0047uF)の他には0.01uFくらいが好みの音で、
それ以上の値は個人的に全然使いそうもない感じでした。
なので入力側だけ、0.0047uFを基本にして、スイッチ切り替えで0.0068uFをパラに接続できるようにしました。
合わせて0.0115uFになります。
最初は0.0047uFと0.01uFを切り替えにしようとしたんですけど、
切り替え式だと音が途切れるし、なぜか二個をパラにした方がハーモニクスの分離がはっきりしてて
めちゃくちゃマブい音になることを発見したので、0.0068をON/OFFスイッチで足す仕様に決定です。
 
入出力のコンデンサは虎の子のオイルコンデンサを使いました。
電解はちょっと気張ってオーディオ用のニチコン製ファインゴールドに。
オイルコンデンサって、スコーンと抜けていい音になるので、オーディオ用に作り続けてくれたらいいのになあ。
気軽に手に入るなら、全ペダルのアウト側カップリングはオイルにしたいくらいですよ。
 
基板も、最初はオリジナル通りにラグ板を使おうかと思って買っておいたんですが、
穴あきベーク板でポイント配線の方が、パーツの足以外の金属に触れなくていい感じになるので、
ユニバーサル基板の銅箔をエッチング液で溶かして使いました。
 
音は素晴らしいの一言です。
トレブルブースターとして完璧だと思います。
キラキラで気持のいいハーモニクスが沢山出てて、ゲルマのおかげでまろやかウォーミー。 
せっかく切り替え式にしましたが、トレブルブースト以外は使わなさそうです。 
今まで気に入って使ってたトレブルブースターはVOXのやつのクローンなのですが、
これからはレンジマスターばっかり使いそうな感じ。 
トレブル命なぼくの秘密兵器になりました。 
まあ、まだデザインに悩んでいるのでケースには組み込んでないのですが。 
 
これを作りながら同時にシリコンを使ったゲルマシミュレート回路でちょっと実験してみた結果、
工夫するとシリコンでも全然同じくらい味のある音が出せたので、
そのうちシリコン二個でゲルマをシミュって作ってみよーかなーとも考えてます。
 
なんにせよレンジマスターはすっげー良いです。
いまさら何言ってるんだっつー感じですが、名機ってのはこーゆーものをいうんだなーとか思いました。