【前書き】 
 
アンプメーカーのSUNNが60年代に作っていたらしいファズ。
このメーカーが作っていたエフェクターはこれだけなのかな?
他には全然見当たりません。
 
SUNN O)))」というバンドのことを調べていたら、
このメーカーのマークがバンド名の由来らしく、副産物的にこのエフェクターを知りました。
 
確かな情報かはわかりませんが、アイアン・バタフライが使用していた・・との話もあります。
(ソースは海外のフォーラムです) 
 
回路は2N2923というNPNシリコントランジスター三個使用の見るからにレトロな回路。
ミュートしたときのノイズがファズにしては少ない方だというレビューもありました。 
本体からプラグが生えていて、直接ギターにプラグインして使う黒くて小さなエフェクターです。
電源は1.5V(単三電池)一つ。 
 
ON/OFFスイッチはトグルタイプで、 
信号をバイパスさせるのと同時に電源もオフになるしくみのように見えます。
 
回路図を見るに、こういうタイプのレトロなファズでシリコントランジスタのものは
意外と少ないので、どんな音が出るのか興味があったので自作してみました。
 
回路図は、海外のとあるフォーラム内で有名な方のサイトにあったものを参考にしています。
毎度ながら解析されている方々に感謝感謝でございます。
 
【使用トランジスタ 
 
オリジナルのトランジスタ、2N2923はhfeが90〜180くらいらしいので、
勘と経験から、大体hfe100〜160くらいのものなら何に置き換えても大丈夫だと
当たりをつけて製作に挑みました。
 
初めはhfeが160台の2SC1815のYランクを使ってみたのですが、
悪くはないけどちょっとゲインが高すぎる感じだったので、変更しました。
 
hfe80前後の2SC829だと低すぎてダメだったので、
多分120前後がベストだろうと思い、工具箱を漁ったところ、
113、121、126のものが見つかったので、それを使ってみたらビンゴでした。
ゲイン優先で選別したので、トランジスタの型がバラバラになりましたが・・。
 
内訳は
 
Q1:2SC372(hfe113) Q2/Q3:2SC1213A(hfe121、126)
 
・・・です。
 
【使用コンデンサー】
 
カップリングコンデンサーに使われている2uFを2.2uFに変更。(2uなんて現行の汎用にはないので)
 
電解コン以外はセラミックらしいのですが、積層セラミックを使用しました。(積セラが好きなだけ) 
 
2uFの部分以外はオリジナルのままの定数にしました。
バスコンとして22uFの電解コンを追加してあります。気休めというかお守り的に・・。
 
【抵抗】
 
抵抗は普通の1/4カーボン。
 
完成した後に音を聴いて思ったのですが、
多分1/4のカーボン以外を使っても別にメリットがなさそうな感じです。 

あとは、インプットのところに、定番のプルダウンレジスターとして
IMΩをぶら下げてあります。お約束的です。 
 
【その他作成ポイント】
 
基板の配線は、回路図を見ながらササっと手書きでメモった程度のパターンで組みました。
 
一枚40円の中国製ユニバーサル基板の銅箔を紙ヤスリでそぎ落とし、
ただのベーク板状態にして使います。
普通のユニバーサル基板よりも空中3D配線に近い音になる(ような気がする)ので。
 
配線は超お気に入りのHITACHIの撚り線(22AWG)を使用。
 
スイッチはお金をケチって手持ちの9Pトグルスイッチでトゥルーバイパスにしました。
単三電池だとLED光りませんので、本当は6Pでいいのですが、
たまたま手持ちの余りが9Pだったのです。 
どーせ足でオンオフする機会がなさそうなペダルですし、
オリジナルもトグルなので、まあいいや・・的チョイスです。
 
ケースは最初100均のタッパーでしたが、
思い直して同じく100均のハート型の缶ケースに組み込みました。
白ラッカーで塗って、オーブンで焼いただけの仕上げです。
PODのノブもなし。 

ただ単にどんな音がするのか知りたいっていうのが作成の動機なので、 
完璧クローンが欲しいわけでもないし、モディファイする気もないですから、
色々と超適当につくりました。 
 
【音出し感想】
 
最初、回路的にジージーとかビービーした音じゃないかと予想してたのですが、
実はどちらかというとブーミーな音で、鼻をつまんだようなトーンが独特です。
ビービーした音と言えなくもない・・・くらいな。 
 
歪みのタイプはファズ的な毛羽が多く、かつ芯の太いワイルドな音。
Hash感とSick感が強く、和音を弾くとグジャグジャになります。
単音弾きで使うのが無難な感じで、
パワーコードですら、いっぱいっぱい感がすごいです。
 
和音には壊滅的ですが、それはそれで使いようがあり、
ドゥーム的な爆音ノイズに最適。
 
単音で弾くとすごく太くて存在感があるので、グっと前に出た音になるのでカッコいいです。
 
あくまで個人的な主観ですが、アイアン・バタフライが使用していたのは
まさしくこのファズなのじゃないかと思います。
彼らの「In a gadda da vida」という曲の単音リフの音そのままに聴こえました。 
 
すごくかっこいいファズですが、自分的にはマストではないので 
まあ、たまに遊びで使うか使わないか・・・くらいです。